
パーキンソン病は原因がはっきりしていない難病であり、治ることはない病気と位置づけられています。現状の対策としては、外科的手術、または薬による症状コントロールや適度な運動(リハビリ含む)をご自身で取り組んでいただくという方法が主流です。
しかし、パーキンソン病への対策はそれ以外にもあります。
私は鍼灸やマッサージ、整体など西洋医学以外の治療である代替医療に従事して、パーキンソン病の治療を行っています。その経験から、薬やリハビリ以外にも効果的な対策はたくさんあると確信しています。
では、どのような捉え方をすればパーキンソン病という難病に対して、今までよりもっと積極的に改善に向けて取り組むことができるようになるのでしょうか?
【生活環境とパーキンソン病の関係性】
パーキンソン病は近年急増しています。近年私達の身体を取り巻く環境の何が変わったのでしょうか? まずは近年の体を取り巻く環境の変化を振り返りながら、生活習慣とパーキンソン病との関係の手がかりをつかんでいきましょう。
私達の体を取り巻く生活環境の大きな変化として・・・
- 食事が飽食になり、欧米型食物が多くなった
(活性酸素、動脈硬化のリスクが高い食事) - 社会情勢が変わることで生活習慣も変わった
(交感神経緊張型の生活習慣) - ストレス社会の傾向が強くなった
(交感神経緊張)
- があります。
私はこの3つがパーキンソン病に深く関係する大きな変化だと考えています。これらの要素が複合的に作用して、結果として体が交感神経緊張型になってしまい、脳の血流が著しく低下し、脳細胞への栄養供給がうまくいかなくなると考えています。
1.食事が飽食になり、欧米型食物が多くなった。
そもそも欧米型の食事が病気になりやすい身体を作ってしまうことは、近年の生活習慣病やガンの発病率などを見ても明らかなことです。肉食、油物が中心になり、野菜摂取量が不足して、胃腸の消化吸収の働きに大きな負担をかけるようになりました。さらに、消化吸収や排泄能力そのものも低下しています。
腸の消化・吸収・排泄運動は副交感神経、つまり体がリラックスしているときによく働きますので交感神経が強く慢性的に緊張している方は消化・吸収・排泄がうまく機能しなくなり、消化・吸収・排泄がうまく機能しないことでも交感神経緊張をより強くさせます。
パーキンソン病の患者さんにおいては、食生活の欧米化が消化吸収・排泄能力の低下の一因になっていると考えています。消化吸収・排泄能力が低下したパーキンソン病の患者さんには、特徴的な症状として慢性便秘症状が現れています。
2.社会情勢が変わることで生活習慣も変わった。
社会全体の生活リズムが夜型に変貌しています。本来人間は朝起きて、夜寝るという基本のもとに生活してきましたが、現代社会ではその基本が崩れ始めています。また、いつでもどこでも食事を食べることができるようになり、本来身体にとって大きな負担となる深夜や就寝直前の食事もやすやすと出来るようになりました。
また、仕事などにより、体をうまく休息させるということができないため、疲労が蓄積し、徐々に交感神経緊張型の体質になってしまいます。働いたら休む、というようなことができにくくなった社会的な変化が一因にあるのでしょう。
不規則またはうまく休息できない生活は慢性的な交感神経興奮を引き起こします。私達の生活は特に不摂生していると意識していない方でも、その多くは交感神経優位型の生活を送っています。社会そのものが交感神経を興奮させるような構造になっていますので仕方がないといえば仕方がないかもしれません。パーキンソン病と交感神経の関係で例えば、大腸は副交感神経の働きによって活発に動きますが、交感神経の慢性的な緊張は大腸の働きを低下させて便秘の原因にもなります。これはパーキンソン病の方にとっても非常によくないことです。また、交感神経が興奮すると血管は収縮し、血流が乏しくなります。一時的であれば問題はないのですが、それが日常的になってしまうと日常的に血流障害という事態を引き起こすことになります。パーキンソン病の場合、特に脳の血流障害が発症の原因という説もあることから非常に重要なポイントになってきます。
3.ストレス社会の傾向が強くなった。
昔に比べて、社会の変化のスピードはすさまじいものがあります。そのスピードに付いていくだけでも大変な労力です。パーキンソン病の場合、精神的ストレスを受けると症状が悪化し、薬の効きが悪くなる方が非常に多くいます。また、精神的ストレスを日常的に強く受けると交感神経が慢性的に興奮してしまいます。そのことからも精神的ストレスがいかにパーキンソン病と深い関わりがあるか分かると思います。また、世の中にあまりにも情報が山積し、それがかえって混乱を招き、パーキンソン病をはじめ色々な病気をわかりづらくしているという側面もあります。情報が増えると確かに色々な選択肢が増え、基本的にはよいとは思います。しかし情報が増えるという事と患者さんがよくなるということはあまり比例しません。結局混乱を招き、残った感情は精神的ストレスだけ、というようになってしまう危険性があります。
以上、3つの観点からパーキンソン病と生活環境の関係を解説しました。
私はこの「食事」「生活習慣」「ストレス」の乱れが何十年にもわたって蓄積された結果、交感神経緊張型の体質になることが、パーキンソン病発症の原因になっていると考えています。また同じ理由で、パーキンソン病は加齢に伴って発症率が高くなるとも考えることができます。
今、パーキンソン病は若年齢化しています。若年性の場合は遺伝子の関与も議論されており、まだまだ不明な点も多いのですが、私は若年性の場合でもその一部の方は上記の3つが原因だと考えています。
というのは、パーキンソン病に限らず多くの病気で若年齢化が進んでいるからです。
食事、生活習慣、ストレスの乱れは、あなたが想像している以上に深刻化しています。そして、その乱れの進行は今後ますます早くなっていくことでしょう。病気の若年齢化がすべてを物語っています。
生活環境の乱れの深刻な影響とは?
次に生活環境の乱れがどのようにパーキンソン病に影響を及ぼしているのかを解説します。
パーキンソン病は、脳内での神経変性から起こるドーパミンの分泌不足が原因だと言われています。では、なぜ脳内に異常をきたすのでしょうか?
私の経験やいろいろな情報を総合した結果、導き出された仮説は・・・
「食事、生活習慣、ストレスなど生活環境の乱れ」
↓
「交感神経慢性緊張、消化器官(胃腸)の消化吸収・排泄能力がうまく機能しなくなる」
↓
「活性酸素や、排泄されるべき老廃物がうまく処理されずに、体内に蓄積される」
↓
「全身、特に脳において顕著に血流障害が起こる」
↓
「神経細胞への栄養供給が不十分になり、神経変性へとつながる」
↓
「パーキンソン病が発症する」
というものです。そして生活環境の乱れが加速していくと、さらに症状が悪化すると考えています。
この仮説は科学的に証明されているわけではありません。
ただし、この仮説に基づいたパーキンソン病治療で多くの改善効果が出ていることや、患者さんに共通している症状(例えば、パーキンソン病のほとんどに便秘症状が出ること。便秘は自律神経異常と消化吸収・排泄能力低下の典型的な症状です)などを考えると、かなりパーキンソン病治療の核心に迫っているのではないかと思っています。
さらにこの仮説を確信する背景には、自律神経と病気の関係を示した「福田―安保理論」や、頭部に鍼をさして脳の血流を促進させる「頭皮針(鍼灸治療のひとつ)」が、パーキンソン病患者さんの8割以上に効果を上げている報告があることなどがあります。
科学的に証明されていない以上、信じるかどうかの判断は各人に委ねます。しかし、科学的でないというだけで可能性を捨てるのもどうかと考えています。
これら「食事」「生活習慣」「ストレス」の乱れと、それによって出現する「自律神経異常(交感神経慢性緊張)」を徹底的に改善することが、パーキンソン病改善または進行を食い止める鍵になるはずです。



